視能訓練士の仕事内容は、勤務先によって大きく異なります。ここでは、視能訓練士の勤務先として最も多い眼科クリニックを中心に、クリニックのタイプ別の仕事内容を詳しく解説します。
眼科クリニック ——最も求人が多く、クリニックごとに仕事内容が異なる
視能訓練士の勤務先として最も多いのが眼科クリニック(個人開業医)です。日本視能訓練士協会の調査でも、視能訓練士全体の約半数がクリニックで働いています。
クリニックの仕事の特徴は、施設ごとに業務内容が大きく異なることです。視力検査や眼圧測定はもちろん、OCT撮影、ハンフリー視野計、眼鏡処方、コンタクトレンズ検査、手術がある場合は手術前検査や手術室業務まで、幅広い業務を担当するクリニックもあれば、検査業務に集中できる環境が整っているクリニックもあります。
「検査に集中したい」「幅広い経験を積みたい」——希望する働き方は人それぞれです。大切なのは、自分に合ったクリニックを見つけることですが、求人票だけではその判断が難しいのが現実です。眼科ワークでは実際にクリニックを訪問して業務内容を把握しているため、「このクリニックでは検査に集中できるか」「受付業務はあるか」といった細かい疑問にもお答えできます。
クリニックの種類によって仕事内容はここまで違う
ひとくちに「眼科クリニック」と言っても、院長の専門分野や方針によって視能訓練士の日常業務はまったく異なります。ここでは、眼科ワークが日々のクリニック訪問で把握しているタイプ別の仕事内容を紹介します。同じ「視能訓練士募集」の求人でも、どのタイプのクリニックかによって求められるスキルや1日の過ごし方が大きく変わるため、転職前に確認しておきたいポイントです。
手術を積極的に行うクリニック(白内障・緑内障)
白内障手術を月に数十件〜100件以上行っているクリニックでは、手術前の精密検査が業務の大きな割合を占めます。具体的には、IOLマスター(眼軸長測定)による眼内レンズの度数計算、スペキュラーマイクロスコープ(角膜内皮細胞検査)、角膜形状解析装置によるデータ取得などを正確かつスピーディーにこなすスキルが求められます。これらの検査データが術後の見え方を左右するため、視能訓練士の測定精度がそのまま手術の質に直結する、やりがいのある環境です。
また、手術室での外回りや機械出し、器具の洗浄といった手術室業務を視能訓練士が担当するクリニックも多くあります。近年は多焦点眼内レンズの選択肢が増えたことで、患者さんのライフスタイルに合ったレンズを提案するカウンセリング業務が加わるクリニックも出てきています。
緑内障に力を入れているクリニックでは、ハンフリー視野計やGP(ゴールドマン視野計)、OCTを使った定期的な経過観察が中心業務です。「視野が狭くなっていないか」を3〜6ヶ月ごとに追いかけるため、過去データとの比較読みができるスキルが重宝されます。
小児眼科に力を入れているクリニック
斜視・弱視の検査と視能矯正が中心のクリニックでは、子どもの検査・訓練がメイン業務になります。大型弱視鏡(シノプトフォア)による両眼視機能の検査・訓練、スポットビジョンスクリーナーを使った乳幼児の屈折スクリーニング、プリズムバーによる眼位測定など、小児特有の検査機器を扱うスキルが必要です。
小さな子どもは検査に集中できないことが多いため、年齢に合わせて絵視標やゲーム感覚の検査に切り替える柔軟性が求められます。弱視治療の中心であるアイパッチ(遮閉法)の指導では、保護者に「約8歳までが治療のタイムリミット」であることを伝えつつ、子どもが嫌がらずに続けられる工夫を一緒に考えるのも視能訓練士の大切な役割です。
小児対応の経験は転職市場でも希少価値が高く、小児眼科に対応できる視能訓練士を探しているクリニックは多くあります。
コンタクトレンズ対応が多いクリニック
コンタクトレンズの処方・指導が業務の中心となるクリニックもあります。屈折検査に加えて、角膜曲率の測定、トライアルレンズの選択、フィッティング評価、装用指導(初めてのコンタクトの付け外し練習)などを担当します。各メーカーのレンズ特性を把握しておく必要があり、昼休みにメーカー主催の勉強会があるクリニックも。
患者数が多くテンポの速い業務になりがちですが、10〜30代の若い患者層が多いため雰囲気は明るい職場が多いです。ただし、コンタクト検査に業務が偏りやすいため、視野検査や斜視・弱視訓練といった幅広いスキルを身につけたい方は、キャリアのどこかで別タイプのクリニックも経験しておくと良いでしょう。
自由診療クリニック(ICL・レーシック等)
ICL(眼内コンタクトレンズ)やレーシックなどの屈折矯正手術を専門に行う自由診療クリニックも、視能訓練士の活躍の場です。前眼部OCT(CASIA等)による角膜から水晶体までの精密撮影、角膜形状解析装置(Pentacam等)を用いた円錐角膜のスクリーニング、角膜厚測定、暗所瞳孔径測定など、屈折矯正に特化した検査が業務の中心です。
保険診療のクリニックとの大きな違いは「接客業」としての側面です。ICL手術は40〜100万円弱の自費診療のため、患者さんの期待値も高く、カウンセリング力やホスピタリティが重視されます。一方で、ゴールドマン視野計や斜視・弱視検査、眼鏡処方などは基本的に行わないため、検査スキルの幅は限定的になります。
自由診療クリニックは収益構造が異なるため、インセンティブ制度を設けていたり、基本給自体が高めに設定されているケースが多く、保険診療のクリニックと比べて年収が高い傾向にあります。
ただし、ICLやレーシックの患者層は20〜30代の若年層が中心のため、患者さんが来院しやすい土日・祝日に診療を行っているクリニックがほとんどです。平日休みが基本になるため、年収の高さと休日のバランスをどう考えるかがポイントになります。
オルソケラトロジー・近視進行抑制クリニック
近年急速に増えているのが、オルソケラトロジー(就寝中に特殊なコンタクトレンズを装用して角膜形状を変え、日中裸眼で過ごせるようにする治療)や低濃度アトロピン点眼による近視進行抑制に力を入れるクリニックです。
視能訓練士の業務は、角膜形状解析装置によるフィッティング評価、眼軸長の定期測定(近視進行のモニタリング)、レンズの装脱練習指導などが中心です。対象が小学生〜中学生の子どもであることが多いため、小児対応のスキルも活かせます。自由診療のため、クリニックの収益性が高く、給与面で優遇されるケースもあります。
一般外来中心のクリニック
手術を行わず、外来診療を中心としたクリニックでは、視力・屈折・眼圧・眼底・OCTなどの一般検査を幅広く担当します。患者層も乳幼児から高齢者まで幅広く、総合的な検査スキルをバランスよく身につけられる環境です。
業務内容が比較的安定しており、残業も少ない傾向があります。1人ひとりの患者さんと丁寧に向き合えるため、「検査の質を大切にしたい」「患者さんとじっくり関わりたい」という方に向いています。
クリニック選びで意外と重要な「休日パターン」
視能訓練士の転職で、仕事内容と同じくらい気にされるのが休日のパターンです。眼科クリニックの休日は施設によってさまざまですが、大きく5つのパターンに分かれます。
① 日曜・祝日休み+平日1日休み
最もスタンダードなパターンです。木曜や水曜を休診日にしているクリニックが多く、週休2日で安定した生活リズムを保てます。
② 平日1日+土曜午後+日曜・祝日休み(週休2.5日)
土曜は午前のみ診療のクリニックで、実質的に週休2.5日になるパターンです。視能訓練士に人気が高く、プライベートの時間を確保しやすいのが魅力です。
③ 土曜午後+平日午後+日曜・祝日休み(週休2日)
手術を積極的に行うクリニックに多いパターンです。土曜午後と平日の手術日午後が休みになり、週休2日の計算になります。休日としての人気は高くありませんが、その分、白内障や硝子体などのオペを中心とした環境で視能訓練士として一人前になれる職場が多く、「スキルを磨きたい」という方には支持されています。
④ シフト制(土日出勤あり・平日休み)
自由診療クリニック(ICL・レーシック等)やコンタクトレンズ専門クリニックに多いパターンです。患者層が若年層中心のため土日の来院が多く、平日に代休を取る形になります。年収は高い傾向にありますが、家族や友人と休みが合いにくいデメリットがあります。
⑤ 土日・祝日休み(完全週休2日)
視能訓練士に最も人気の高い休日パターンです。健診センターや一部の個人クリニックで見られますが、求人が出ること自体が非常にまれで、公開求人ではほとんど見かけません。眼科ワークに登録しておけば、こうしたレアな求人が出たタイミングでご連絡することが可能です。
求人票に「週休2日」と書いてあっても、実際の休日パターンはクリニックによって異なります。眼科ワークでは「土曜午後は休みか」「日曜出勤はあるか」といった細かい勤務条件も把握しているため、希望の働き方に合ったクリニックをご提案できます。
▶ どのタイプが自分に合う? 眼科ワークでは、各クリニックの業務内容・休日パターン・検査機器の導入状況を把握した上で求人をご紹介しています。
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総合病院・大学病院の仕事内容
総合病院や大学病院に勤務する視能訓練士もいます。クリニックとの大きな違いは「業務の分業化」です。視能訓練士が複数名在籍し、OCT専任や視野検査専任など検査ごとに担当が分かれるケースがあり、特定分野を深く極められる環境です。
入院患者の対応や、他科(糖尿病内科・脳神経外科など)からの依頼検査がある点、受付業務などの雑務がほぼない点もクリニックとは異なります。大学病院では学会発表や臨床研究に携わる機会もあります。
ただし、総合病院・大学病院ともに中途採用の求人は非常に限られています。視能訓練士の転職先としては眼科クリニックが圧倒的に多く、好条件のクリニックであれば年収面でも病院勤務を上回ることは珍しくありません。
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