では、なぜネット上では「やめとけ」と言われるのでしょうか。よく挙げられる理由を、実際のデータで検証します。

理由①「給料が低い」→ 転職で9割以上が年収アップしている
「やめとけ」と言われる最大の理由が給料の低さです。
確かに、視能訓練士の平均年収は約444万円(厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」)。看護師(約508万円)と比較すると低く見えます。
しかし、これはあくまで全年齢・全勤務先の平均値です。
眼科ワークの直近3年間(2023年3月〜2026年2月)の転職データでは、以下の結果が出ています。
- 転職者の9割以上が年収アップに成功
- 転職前平均361万円 → 転職後平均409万円(+48万円)
21〜25歳 +48万円
転職前 325万円
転職後 373万円
26〜31歳 +45万円
転職前 356万円
転職後 401万円
32〜34歳 +48万円
転職前 371万円
転職後 419万円
35〜39歳 +41万円
転職前 401万円
転職後 442万円
※眼科ワーク調べ(2023年〜2026年の転職データ・首都圏エリア)

つまり「給料が低い」のは視能訓練士という職業の問題ではなく、今いる職場の給与水準の問題です。
同じ年齢・同じ経験年数でも、勤務先によって年収に数十万円〜100万円以上の差が出ることは珍しくありません。給料が低いと感じるなら、職業を諦めるのではなく、職場を変えればいいのです。
▶ 関連記事:視能訓練士の年収・給料はいくら?転職データでわかるリアルな相場
理由②「就職先が限られる」→ 視能訓練士は約22,000名、需要は増え続けている
「眼科でしか働けないから就職先が少ない」という声もあります。
数字で見てみましょう。
- 全国の眼科を標榜する診療所:約8,200件(厚生労働省「医療施設調査」)
- 眼科を持つ病院を含めると、眼科施設はさらに多い
- 視能訓練士の数:約22,000名(日本視能訓練士協会 2025年調査)
- 眼科医の数:約13,700名
単純計算で、1施設あたりの視能訓練士は2〜3名。しかし実際には、視能訓練士がいない眼科も多く存在します。つまり、視能訓練士を配置したくても採用できていない眼科が全国にたくさんあるということです。
特に首都圏では求人が常にある状態です。眼科ワークでも、採用したいクリニックからの求人依頼が途切れることはありません。
「就職できない」のではなく、自分の希望条件(エリア・給与・勤務時間)に合う求人を見つけられていないだけです。
▶ 関連記事:【2026年最新】視能訓練士は全国に何人いる?合格者数の推移データで解説
理由③「知名度が低い・業務独占じゃない」→ だからこそ専門性が武器になる
「視能訓練士って何?と聞かれる」「看護師でも検査できるんでしょ?」という不安もよく目にします。
確かに視能訓練士は業務独占資格ではありません。法律上は、看護師でも眼科検査を行うことができます。
しかし、現場の実態は全く違います。
わかりやすい例がゴールドマン視野計(GP)です。GPは検査員が手動で視標を動かし、患者さんの反応を見ながらリアルタイムで記録する検査です。ハンフリー視野計のような自動の視野計とは異なり、検査員の技量によって結果の精度が大きく変わります。そのため、多くの眼科でGPの検査は視能訓練士が担当しています。
GPだけではありません。小児の斜視・弱視の訓練、OCT(光干渉断層計)の読影補助、眼鏡・コンタクトレンズの処方検査——これらはすべて、専門的な知識と経験がなければ正確にできない業務です。「看護師でもできる」というのは法律上の話であって、実際の眼科診療の質を支えているのは視能訓練士です。
むしろ、業務独占ではないからこそ、スキルを磨いた視能訓練士の市場価値は高いのです。高度な検査ができる視能訓練士は、院長から「替えがきかない存在」として評価され、給与交渉でも有利に働きます。
理由④「人間関係がつらい」→ これは職場の問題であり、職業の問題ではない
人間関係の悩みは、視能訓練士に限った話ではありません。どの職業でも、職場の人間関係が合わなければつらいものです。
眼科ワークが保有する退職理由データでは、転職理由の第1位は職場の人間関係です。
これは裏を返せば、職場さえ変えれば解決する問題ということ。
眼科ワークでは、求人票だけではわからない「職場の雰囲気」「スタッフの人間関係」「実際の残業時間」まで把握した上で、求職者に合ったクリニックをご紹介しています。入ってみたら想像と違った……というミスマッチを、事前に防ぐことができるのは、眼科専門の転職エージェントだからこそです。
▶ 関連記事:視能訓練士の退職理由ランキング|最新2025年調査+独自1,000名データ
理由⑤「昇給しにくい・年功序列」→ それはあなたの職場の話であって、業界全体の話ではない
「何年働いても給料がほとんど上がらない」という声は確かにあります。
しかし、それはその人の職場がそうだっただけです。昇給制度がしっかりしているクリニックもあれば、手術件数やスキルに応じてインセンティブを出している施設もあります。一部の職場の話を、業界全体の問題にすり替えないでほしいというのが正直な気持ちです。
実際、同じスキルを持った視能訓練士でも、勤務先によって年収に100万円以上の差がつくことがあるのが眼科業界の実態です。
「今の職場では昇給が見込めない」なら、評価制度のある職場に移ればいい。眼科ワークのデータが示すように、転職すれば9割以上が年収アップを実現しています。
理由⑥「患者対応がストレスになる」→ 検査を通じて患者さんの「見える」を守るやりがいがある
高齢の患者さんへの対応や、小児の検査で苦労するという声もあります。確かに、コミュニケーションに配慮が必要な場面は多い職業です。
しかし、これは見方を変えれば視能訓練士ならではのやりがいでもあります。
弱視の子どもが訓練を経て視力が改善していく過程に立ち会えること。白内障手術後の患者さんが「見える!」と喜ぶ瞬間に検査で関わっていること。こうした経験は、デスクワークでは絶対に得られません。
患者さんとの関わりにストレスを感じるのか、やりがいを感じるのか。それは個人の適性の問題であって、「やめとけ」と言う根拠にはなりません。
理由⑦「AIに仕事を奪われる」→ 眼科の患者さんの大半は高齢者。AIでは対応できない
「AIや検査機器の進化で視能訓練士はいらなくなる」という声も見かけます。
確かにOCTや自動視野計など、検査機器の自動化は進んでいます。しかし、そもそも眼科の患者さんの大半は高齢者です。
耳が遠い方、検査の説明を理解しにくい方、初めての検査で不安を感じている方——こうした患者さんに対して、声のかけ方を工夫し、検査のペースを調整し、適切なタイミングで休憩を入れる。対人コミュニケーションそのものが検査の精度を左右するのが眼科の現場です。これはAIには絶対にできません。
先ほど紹介したゴールドマン視野計(GP)はもちろん、小児の斜視・弱視の訓練でも同じです。泣いている子どものモチベーションを高めながら検査を進めるスキルは、機械では代替できません。
さらに、高齢化に伴い緑内障や加齢黄斑変性などの眼疾患は増加の一途です。AIが発達しても眼科医療そのものの需要が減ることはなく、むしろ高齢の患者さんに寄り添える視能訓練士の価値は、今後ますます高まります。
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理由⑧「キャリアアップの道が少ない」→ 検査を極めることがキャリアそのもの
「視能訓練士にはキャリアアップの道がない」というのも、よく言われる話です。
正直に言うと、この意見の意味がよくわかりません。視能訓練士は検査のプロフェッショナルです。検査の精度を高め、対応できる検査の幅を広げること自体がキャリアアップです。「管理職になれない」「役職がない」と言いますが、それは一般企業の物差しで医療専門職を測っているだけです。
そして、視能訓練士の大きな強みは、働き方の自由度が高いことです。夜勤がない。日祝休みのクリニックが多い。家族との時間が取りやすい。出産・育児で一度離職しても、国家資格があるから復職しやすい。こうした特徴は、看護師のように夜勤やシフト勤務が求められる職種と比べると、圧倒的に恵まれています。
「キャリアアップ」を「人生全体の豊かさ」で考えたとき、視能訓練士はかなり優れた選択肢です。
もちろん、臨床を極めてスペシャリストを目指す道や、主任・チームリーダーとしてマネジメントに進む道、医療機器メーカーへの転職、養成校の教員など、キャリアの選択肢そのものも広がっています。
「クリニックで検査員として一生終わる」という時代ではありません。

理由⑨「学費が高い・資格取得が大変」→ 患者さんの目を守る仕事だから、国家資格であるべき
視能訓練士になるには養成校で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。学費は3年制の専門学校で450〜500万円程度。「それだけ投資して割に合うのか?」という不安は理解できます。
しかし、考えてみてください。視能訓練士が日々行っているのは、患者さんの目を検査し、視力を守る仕事です。検査の結果が、緑内障の早期発見や白内障手術の判断に直結します。これだけ責任のある仕事を、資格なしの人間にやらせるわけにはいきません。 国家資格が必要なのは当然です。
そして、国家資格は一生有効です。更新も不要です。ちなみに国家試験の合格率は例年90%以上。養成校でしっかり学べば、ほとんどの方が合格しています。「資格取得が大変」と言われるほどのハードルではありません。
一度取得すれば、結婚・出産・引っ越しといったライフイベントを経ても、全国どこでも復職できます。実際に、子育てで一度離職した後にパートとして復帰する視能訓練士は非常に多く、復職後の時給も一般的なパートと比べて高水準です。
日本視能訓練士協会の2025年調査では、パート・非常勤の平均時給は約1,972円。資格取得までの学費は決して安くありませんが、長い人生で見ればリターンの大きい投資です。
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