この記事では、そんな視能訓練士が就職・転職時に必ず気になる「年収」について解説していきます。
全体の平均年収だけでなく、「年齢別」「初任給」「勤務施設別」「勤務地域別」「経験年数別」「雇用形態別」「看護師との年収の違い」などあらゆる切り口で解説していますので、ぜひ視能訓練士の方はご覧ください!
視能訓練士の平均年収は約378.5万円!
2020年の視能訓練士の平均年収は、約378.5万円と報告されています。
これは、公益社団法人 日本視能訓練士協会が調査・発表している『視能訓練士実態調査報告書 2020年』のデータを参照した数字です。
月給に換算すると、30万円前後が正規社員の平均月給の相場となります。
また、前回調査年の2010年は平均年収が352.9万円だったので、比較すると若干増加したものと考えられます。
以下は、平均年収別の比率の内訳です。
- 100万円未満 = 4.4%
- 100~200万円未満 = 6.6%
- 200~300万円未満 = 12.1%
- 300~400万円未満 = 24.0%
- 400~500万円未満 = 19.7%
- 500~600万円未満 = 11.7%
- 600~700万円未満 = 6.4%
- 700万円以上 = 3.4%
視能訓練士の年齢別の年収

では、年齢別にはどのように平均年収は推移するのでしょうか?
ここでは就活に関する情報をまとめているWebサイト『就活の未来』のシミュレーション値よりご紹介したいと思います。
シミュレーションによると、年齢別の平均年収は以下となります。
- 20〜24歳 = 249.8万円(17.1万円)
- 25〜29歳 = 325.4万円(22.3万円)
- 30〜34歳 = 374.9万円(25.7万円)
- 35〜39歳 = 410.8万円(28.2万円)
- 40〜44歳 = 442.7万円(30.4万円)
- 45〜49歳 = 468.0万円(32.1万円)
- 50〜54歳 = 487.6万円(33.5万円)
- 55〜59歳 = 580.5万円(33.0万円)
- 60〜64歳 = 360.2万円(24.7万円)
※()は月収
なお、『就活の未来』に記載されている注意書きによると、「あくまで編集部で規定したアルゴリズムに基づいた算出である」とあります。
そのため、実態と多少のズレがある可能性は事前に認識しておいてください。
そのほかにも『眼科求人.work』では、視能訓練士の年齢別の平均年収を発表している統計資料を調査してみましたが見当たりませんでした。
※ 参考元:就活の未来「視能訓練士の平均年収・ボーナス事情|比較シミュレーションで比べてみよう」
視能訓練士の初任給は月18〜20万円ほど
視能訓練士の初任給は平均で約18~20万円です。
労働組合が強い大きな病院の場合は、もう少し給与水準は高くなる傾向も見受けられます。
一般的な会社員や他の医療系専門職と比較しても、決して高いとは言えない水準です。
しかし、仕事に慣れてくるとプライベートと両立しやすい点、女性が働きやすい職場である点、日々患者さんから感謝されるやりがいある仕事、という点を考えるとやりがいのある仕事といえるでしょう。
学歴によって収入に差はあるのか?
実際には一般的に”4年生大学卒の視能訓練士のほうが年収は高くなる”傾向があります。
ただし、「4年生大学卒だから年収が高くなるのか」それとも「結果的にそのような傾向があるのか」という因果と相関を正しく認識する必要があります。
前提として、視能訓練士になるには養成課程のある3年制の専門学校を卒業し国家試験に合格するか、4年生大学や短大または看護師・保育士の養成校で指定科目を履修して視能訓練士の養成学校(1年以上)を卒業し国家試験に合格する......というように、いくつかのルートがあります。
これまで数多くの視能訓練士さんの転職支援に携わってきた『眼科求人.work』の経験によると、学歴がその後のキャリアステップに影響するケースはあまりありません。
この点から推測するに、学歴によって収入に差が生まれるのではなく、結果的に4年生大学卒の視能訓練士のほうが”年収をあげる”という意味でのキャリアパスをうまく歩む……ということではないか?と考えられます。
つまり、年収を上げていきたいのであれば、今後どのような技術を身につけ、どのような職場への転職を狙うべきなのか、戦略的に考え積極的に行動する姿勢が最重要だといえるのです。
視能訓練士の施設別の平均年収
次に、視能訓練士が勤務する施設別の平均年収をご説明していきます。
結論から説明すると、平均年収が最も高いのは「私立大学病院」で501.1万円です。
続いて、2位が「国公立医療機関」で485.2万円、3位が「準公立医療機関」で456.8万円、4位が「国公立大学病院」で434.6万円であり、いずれも男女差はあまり見られませんでした。
- 1位. 私立大学病院:約510.1万円
- 2位. 国公立医療機関:約485.2万円
- 3位. 準公立医療機関:約456.8万円
- 4位. 国公立大学病院:約434.6万円
- 5位. 私立病院:約411.1万円
- 6位. 眼科診療所:約407.5万円
※ 参考元:日本視能訓練士協会「視能訓練士実態調査報告書 2020年」
私立大学病院とは
私立大学病院とは、私立大学に付属して運営されている大学病院のことです。
なお、私立大学とは、私人(個人)や民間団体などによって設立され、学校法人が運営する大学を指します。
例えば、東京には以下のような私立大学病院があります。
- 日本医科大学付属病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院
- 東京大学医学部附属病院
- 昭和大学病院
- 慶應義塾大学病院
- 帝京大学医学部附属病院
国公立医療機関(国立病院)とは
国公立医療機関(国立病院)とは、厚生労働省管轄である「独立行政法人 国立病院機構」が運営する医療施設のことです。
全国に141の施設があり、一般診療に加えて先進医療や医療の研究も積極的に行なわれます。
国公立医療機関(国立病院)は、運営母体が厚生労働省直下の行政法人であるため、経営が安定しているという特徴があります。
準公立医療機関(公立病院)とは
準公立医療機関(公立病院)とは、都道府県や市町村などの自治体が運営する医療機関のことです。
現在、全国に875の施設があり、各地域の基幹病院の役割を果たす医療機関です。
一般診療だけでなく、救急・災害医療や高度・先進医療など、民間病院では対応しきれない医療を提供しています。
国公立大学病院とは
国公立大学病院とは、国公立大学に付属して運営されている大学病院のことです。
関東・甲信越地区には、以下の国公立大学病院があります。
- 筑波大学附属病院
- 群馬大学医学部附属病院
- 千葉大学医学部附属病院
- 東京大学医学部附属病院
- 東京大学医科学研究所附属病院
- 東京医科歯科大学病院
- 新潟大学医歯学総合病院
- 山梨大学医学部附属病院
- 信州大学医学部附属病院
私立病院とは
私立病院とは、民間団体および民間によって経営(運営)されている病院のことです。
ここまでに説明した「私立・国公立大学病院」「国公立病院」以外の病院は基本的に私立病院か以下の眼科診療所に分類されます。
このうち、「患者さんが入院できるベッド数が20床以上」の医療機関を「病院」と呼びます。
眼科診療所とは
眼科診療所とは、「患者さんが入院できるベッド数が19床以下」の医療機関のことです。
一般的に街なかや駅前にある「●●クリニック」「●●医院」は、基本的に眼科診療所であると考えてよいでしょう。
視能訓練士の地域別の平均年収
続いて、視能訓練士の地域別の平均年収をご説明します。
地域別の平均年収は、『求人ボックス 給料ナビ』が調査した情報をもとにしています。
データは2022年10月に求人ボックス上で掲載されていた求人情報より、給与水準の中央値を算出したものです。
求人ボックスのデータによると、各地域別の平均年収・平均時給(アルバイト)は以下となります。
- 北海道・東北 = 平均年収 347万円 / 平均時給(ア) 1,151円
- 関東 = 平均年収 371万円 / 平均時給(ア)1,450円
- 近畿 = 平均年収 349万円 / 平均時給(ア)1,434円
- 中部・北陸 = 平均年収 351万円 / 平均時給(ア)1,400円
- 中国・四国 = 平均年収 304万円 / 平均時給(ア)1,251円
- 九州・沖縄 = 平均年収 315万円 / 平均時給(ア)1,202円
視能訓練士の経験年数(キャリア)別の平均年収
視能訓練士の勤務年数と平均年収の関係性はどうなのでしょうか。
こちらは、2020年の『日本視能訓練士協会』の資料をもとに解説していきたいと思います。
資料によると、勤務年数別の平均年収は以下の通りとなっています。
- 5年未満 = 平均年収312万円
- 5~10年未満 = 平均年収363万円
- 10~15年未満 = 平均年収402万円
- 15~20年未満 = 平均年収447万円
- 20~25年未満 = 平均年収484万円
- 25~30年未満 = 平均年収554万円
- 30~35年未満 = 平均年収591万円
- 35~40年未満 = 平均年収586万円
- 40年以上 = 平均年収498万円
このように基本的には勤続年数に応じて平均年収は増加する傾向にあります。
勤務先の経営状況が良好であれば、勤続年数とともに年収は上昇する傾向にあるといえそうです。
※ 参考元:日本視能訓練士協会「視能訓練士実態調査報告書 2020年」
視能訓練士の雇用形態別の平均年収
続いて、視能訓練士の雇用形態別の平均年収について解説します。
比較する雇用形態は「正規職員(正社員)」と「非正規職員」の2つです。
『視能訓練士実態調査報告書(2015年版)』のデータを参照すると、正規職員の平均年収は約406万円。
一方で、契約社員やアルバイト・パートなどの非正規職員の平均年収は約217万円と報告されています。
基本的に働きながら一定水準以上の安定した給与を得続けたいのであれば、正規職員として勤務することを推奨します。
勤務時間をフレキシブルに自分の都合のよいかたちで調整しながら働きたい人であれば、非正規職員で働くのもよいでしょう。
※ 参考元:日本視能訓練士協会「視能訓練士実態調査報告書 2015年」
看護師の平均年収との違い
最後に、視能訓練士と看護師の平均年収の違いをご説明します。
ここでは、同じ参照元から比較したいので、どちらも厚生労働省の統計資料より比較していきます。
統計によると、視能訓練士の平均年収は406万円、一方で看護師の平均年収は440万円となっています。
看護師は全ての科に勤務する看護師の平均ですが、眼科に勤務する看護師も上記と同等の給与を得ていると考えてよいでしょう。
このデータを比較すると、視能訓練士より看護師のほうが平均で40万円ほど年収が高いことになります。
視能訓練士が今より給料を上げる方法とは?
視能訓練士が年収を高くしていくには、結論からいうと”技術を向上させるか”、”より条件の良い施設へ転職する”しかありません。
以下にそれぞれの方法について、詳しく解説します。
学会の勉強会や研修に参加し、技能を磨く
1つ目の「技術を向上させる」とは、視能訓練士として必要となる専門知識や技術をより高度に磨いていくということです。
国内には、日本視能訓練士協会や日本視能矯正学会・日本弱視斜視学会など視能訓練士に関する学術集会もいくつか存在します。
このような組織に属し、勉強会や研修に参加し最新の知識・技術を身につける意欲が大切です。
また、今の職場では経験できない症例や専門機器での実践を目的に、別の病院に転職する視能訓練士も多いようです。
計画的・戦略的にキャリアを見据えて、自身のスキルアップに努めることが重要でしょう。
病院経営が順調な施設に転職する
2つ目の「より条件の良い施設へ転職する」には、病院経営が順調な施設を見極める必要があります。
当然ですが、視能訓練士への給与は病院経営で得た利益から分配されますので、潤沢な資金力がある、または病院経営が順調にいっている施設を選ぶことが年収アップに繋がります。
一般的には、先ほども紹介した「私立大学病院」や「公立大学病院」など大規模な医療施設の方が収入が高い傾向にあると思いますので、そのあたりを最終的な勤務先に狙っていくとよいでしょう。
ただし、もちろん競争率も高いと思われますので、しっかりと市場価値のある技術や経験を身につけることが大切です。
また、同僚や上司を中心として業界内で悪い噂の病院・クリニックへの転職はできるだけ避けるのが賢明でしょう。
「自分だけではどの病院が良いのか分からない......」と判断に迷う場合は、弊社『眼科求人.work』のような業界専門の転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
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